コラム「伸縮自在」
 第10回

「中欧プラハの空の下から」 音楽の街で想うこと(その4)

 プラハ便りの最後に少し自慢話を.この街には大きなオペラハウスが2つ,国立オペラと国民劇場.国民劇場には少し小さい別の舞台,モーツァルトが「ドン・ジョヴァンニ」「皇帝ティトの慈悲」を自ら指揮して初演したエステート劇場(Stavovske Divadlo)などもある.為替レートのこともあり,レギュラーシーズンなら最も高い席でも2500円程度.そこで総計20回以上も見に行きました.もちろんオケも有名なチェコ・フィルだけでなく,プラハ交響楽団FOK,プラハ放送交響楽団,プラハ・フィル,プラハチェンバーオーケストラ etc ちゃんとした楽団がたくさんあり,その演奏会にも計10回ほど行ったでしょうか.

 さてそこで見聞きしたもの.好き勝手な感想文は個人のwebsite を見ていただくことに.そこで演じられる演目にはモーツァルト,オケならベートーヴェン,チャイコ,シューベルト,ショスタコ.ブラームス,マーラーはあんまりなかったかな,オペラならヴェルディ,プッチーニ.そして忘れちゃいけないご当地スメタナ,ドヴォルザーク,ヤナーチェク,マルティヌー等々,定評がある作曲家の定番もたくさん上がっているのですが,ここで述べたいのは次の2つ.

 一つはジャズトランペットの W.マルサリスが作曲した,形式としては交響曲組曲とでも言うべき大作「All Rise」.もう一つはプラハ2000というミレニアム企画でコンテストを屋って優秀作品になったオペラ「Faidra」.前者はこれがヨーロッパ初演でチェコ・フィルがその終身指揮者と共に演奏.後者は国立オペラが主席指揮者と演奏.そして,どちらもお客さんが一杯に入る.前者は有名なマルサリス自身のバンドも加わるのでジャズが盛んなこの街で2日連続で満員になるのはわかる.後者も私が観た5回目の公演でも9割近くの入り.演奏には普通のオケだけでなく,エレキベースなども入って,それがなかなか良い.

 これまでの自分だったら,しかも日本にいたら聴きに行っただろうかと言えば,Noだろう.だが今回の滞在ではとてもたくさんのものを聞くことが出来た.そして色々な意味での余裕があったから行くことが出来て,良い経験が出来たのだと思う.日本でクラシック音楽ファンと言われる人には,私自身も含めて非常に狭い範囲の音楽しか聞かない人が多いようなのですが,こうしたものを観てもっと幅広い色々な音楽を知らなくてはいけない,自分の殻をもっと開かなくてはいけない,と思いました.(Sobu)

 

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