コラム「伸縮自在」
第3回
「1に来る人,2に金払う人,3・4がなくて5にうまい人」(その1)
ハ
今までいくつかのアマチュアオケに関わって来る中で作った格言があります。アマオケで重要なのは
なぜこんな順序になるのか、もしかしたらいぶかしく思う人もあるかもしれません。
と思っている人も多いかもしれません。これから4回に分けてそのことについてお話ししたいと思います。それにはまず私の過去の経験についてお話をしなくてはなりません。
前にも書きましたが、大学を卒業して地元の吹奏楽団に入っていた私が、その中のあるメンバーに声をかけられました。その彼は東京都府中市にあったさるオーケストラのメンバーでもあったのです。そのオケは現在は解散しており、東京都府中市に現存するオケとは別の団体ですのでお間違いなく。ここでは仮にそのオケのことを「府中オケ」と呼びましょう。その彼は「府中オケは下振りがいなくて毎回の練習がつまらない。これではメンバーがやめてしまう。そこで下振りに来て欲しい」というのです。学生時代に4年間、自分の出た中学校のオケにコーチに行き、また卒業してからは出来たての地元の吹奏楽団の下振りのようなことをしたり、寄せ集めオケの下振りなどをしたこともあった私でしたが、専門の音楽教育を受けたことはない、和声法も対位法も管弦楽法も指揮法も正式に学んだことはないと固辞したところ、まあどうせトロンボーンもいないからと言うのです。トロンボーンを吹くのなら、と一度見物がてら酒を酌み交わすために、と富士山の麓の牧場で行われたそのオケの合宿に遊びに行ったのでした。
ところがどっこい、行ったら「やぁー来てくださいましたか、それではちょっとやってもらいましょう」といきなり指揮台に挙げられて、30名ほどのオケとその常任指揮者(私より2つ年上でしたが歴としたプロ)の前でなんと試験です。「ベートーヴェンの7番は知ってるでしょうからよろしく」ですって。冗談じゃない、曲は聴いて知っていても棒を振るとなればそうは行きません。たまたま半年前にこの曲の下振りをやったばかりだったので、「えい、どうとでもなれ」と恥ずかしくも棒を振ったのでした。
まあそれはひどかったけど、一応試験は合格だったようで、それから府中オケとのつきあいが始まったのでした。 (sobu)
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