コラム「伸縮自在」
第4回
「1に来る人,2に金払う人,3・4がなくて5にうまい人」(その2)
ハ
前回述べた格言についてお話ししたいと思います。なぜ「1に来る人」なのか。
府中オケ(かつて東京都府中市にあったアマオケ)は毎年1回の定期演奏会と、年2回練習室を使ってのミニコンサートを行っていました。演奏レベルはともかく、結構楽しく活動していたのですがメンバーの高齢化に伴い、引退する人が増えてきました。ちょうどそこへ下振りとして私が登場したわけです。もともと30名くらいのオケでしたが、そこからぼちぼち人が抜けてしまうので、毎回の練習参加者は10名来ればいい方。演奏会はエキストラだらけ。それでもベートーヴェンとモーツアルトはある程度やり尽くして、今度はブラームスだとかチャイコだとか言い始めます。一応トロンボーンだのチューバだのは簡単に手配が付くので、ベートーヴェンをやろうとブラームスをやろうとオケの大きさは同じだと思って取り上げるわけです。そこで練習に行くと
これでブラームスの交響曲をやるんですからどういう状況かおわかりでしょう。いないパートを私が端から皆歌うんです。おまけにヴィオラ・チェロのいつも来られる2人はテンポ感覚が大変よろしく、止まっていないのに平気で2小節ずれたりするわけです。だからヴィオラ・チェロがもう一人来れば「よしそこのお守りは終わりだな」、1stが来れば「あとは管を歌えばいいな」という調子でした。
こんなひどい状況のオケは少ないと思いますが、まずは練習に人が集まらない限り上手いも下手もありません。仕事や家庭とオケの活動を両立させることは大変ですが、少なくとも私のような下手っぴはせめて出席だけはと思っています。
だから「1に来る人」。
ハ