コラム「伸縮自在」
第5回
「1に来る人,2に金払う人,3・4がなくて5にうまい人」(その3)
〜「2.に金払う人」〜
- 今回も前回に引き続き。なぜ「2に金払う人」なのか。前回述べた府中オケ(かつて東京都府中市にあった)のようになかなか団員が集まらないオケへ,演奏会でエキストラを呼ぶ必要があるわけです。エキストラにはなにがしかのギャラを出さなくてはならないするとチケットノルマが払う団員1人とエキストラ1人では行って来いで結構な差になるわけです。団員が少ない。すると1人あたりのチケットノルマが多くなる。どっちにせよ直前にしか練習に来ないんだしそれでもどうせエキストラで呼ばれるだろうからと,なんだかんだ言って退団してしまうような人もいました。そういう人を「フリーのアマオケ奏者」とでもいうんでしょうかね。そんなわけで財政的に苦しかった府中のオケは,指揮者にもまともなギャラが出せなくて,定期演奏会の2曲プロのうちの1曲を本番の3週間前に「ここは曽布川君にも棒振りの本番をあげよう」とか言ってキャンセルされる始末。まあプロとしては当然でしょうが。
- 音楽の世界では「プロ」と「アマチュア」の定義が結構難しいと思います。テニスやゴルフでは試験があってそれに受かればプロ。野球もプロ球団と契約していればプロ。サッカーはプロ契約を結べばプロ。音楽の場合にはどうなのでしょうか。滝雄司氏は「アマチュアオーケストラのホームページ」のなかでアマチュアオーケストラの定義を次のようにしています。
「その構成員が通常の演奏会によって演奏報酬を受けないオーケストラ」
- 演奏会を催すにはお金がいるのですから,誰かがお金を出さなければなりません。チケット販売がどんなにうまくいっても完全に団員個人が出費なしで行うのは無理でしょうから,その観点からすると「お金を払って活動する」のがアマチュアなのかもしれませんね。それとももしチケット収入で演奏会の諸費用を賄えるのなら,聴きに来て(チケットを買って)下さるお客様が一番大切だといえるでしょう。少なくともプロのオケだったらそうです。我々の場合は?
- どちらにせよ大切なのは「2に金払う人」。
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