コラム「伸縮自在」
第8回
「中欧プラハの空の下から」
音楽の街で想うこと(その2)
「その1」を書いてから,ずいぶん時間が経ってしまいました.その1で触れたコンサートについてもう少し.この日の演奏は弦楽合奏+トランペットで,なかなか見事なレベルのものだったのですが,一つだけ感心しないことがありました.この日のトランペットは結構難曲であるにも関わらず,ニコニコしながら余裕の演奏.見ている側もとても楽しくなる演奏でした.ところが全体の指揮の役割をするコンマスがよろしくない.上手いんです,確かに.完璧.でも仏頂面.全くニコリともしない.もちろん,観光客相手にお金を稼ぐための演奏ですから「おしごと」の気分はわかるのですが,「ちゃんと弾いてるんだ,文句あっか」とばかりに仏頂面.これでは観ている方は気分が悪くなります.もちろんレコーディングならそれでもいいのかも知れませんが.
同じようなことをオペラでも見ました.ある指揮者のこと.よく勉強している人なんだろうなと思いました.まあちゃんと仕事をしている.プラハのオペラハウスはどこも日替わりで演目が代わり,もちろんリハーサルなどありませんから,久しぶりにぶっつけ本番という感じ.それでもちゃんと演奏するのには指揮者の力が大きいとは思う.でも.こっちが拍手しているのに,ニコリともせずお辞儀もほとんどしないのは一体何?どういうつもり?
そうしたところに演奏側の気持ちが出るのかも知れない,もしかしたら音にも繁栄されるのかも知れない.まあ,どこかのバンドのように「見た目8割」とか言っちゃったらしょうがないですけど,心の中に考えていることがそうやって見透かされてしまいかねません.
我々倉管のなかでも「今度の仕事は」という声が時々聞こえます.もちろん団に,場合によっては個人にギャラが入るような演奏会もありますが,ああした「お仕事」にはなりたくないな,と思いました.(Sobu)